遺言書はのこすべきもの
将来のトラブルを未然に防ぐ。

そう考えている方はいませんか?
遺言書のない相続は法定相続となりますが、この場合、全ての遺産が相続人の割合による共有となります。では、本当にそれで問題はないのでしょうか?
例えば、遺産が現金だけであればともかく、不動産の場合、法定相続では相続人の共有が原則となります。
共有不動産の場合、処分には全員の同意が必要となりますから、一般的に著しく流動性に劣るものとなります。もし、この不動産を売却する場合は相続人全員が合意しなければなりません。担保に供する場合でも、土地全体を担保に供する場合は全員の同意が必要になります。一人が反対すれば、できないことになります。これでは、必要なときに財産を有効に活用することができなくなります。
これが、不動産は一人に相続させ、他の二人にはその他の預貯金を相続させたり、遺言執行者を指定した上で不動産を売却しての換価分割を指定しておくといった、後々に争いの種を遺さないような相続計画を遺言書で実現できます。
また、中には生前にもらった財産や、親の面倒をみた、みなかったといった問題が兄弟姉妹の間で不公平感としてあった場合、相続発生後に大きなトラブルとなることもあります。こういった場合には、遺言書で親が自らの意思で相続分を調整し、それを示すことで納得させることもできます。
例え相続割合は法定相続でよいとしても、その後の遺産相続を考えると、実際の手続きを考えた遺言書があったほうがよいのです。
公正証書の遺言書
作るときはちょっと大変でも、使うときには安心。

遺言は、死後の財産処分に関する法律行為ですが、法律知識が十分でない遺言者の作成した自筆遺言は、内容に不備や誤りがあったり、不明確な点があったりして効力に問題が生ずる心配がありますが、公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が作成するので、法律的には問題のない遺言を残すことができます。ただし、税務的・財産的な部分は必ずしも得手ではないので、別に検討する必要があります。
遺言者がご高齢である場合や、病気の場合は、別途費用がかかりますが公証人がご自宅や病院等に出張して公正証書遺言を作成することも可能です。
全文自筆の遺言書
簡単・お手軽。でも、常にトラブルを内在しています。

最も簡単で安価な方法ですが、一人でこっそり書いたため法律的に内容が不明確になったり、遺言の存在が当人の死後明らかにされないとか、さらには遺言書そのものが当人の書いたものかどうかの争いになったり等、安全と確実さでは今ひとつです。
実際に、遺言書のトラブルで裁判にまで発展して争われるものの多くはこの自筆遺言書です。
なにより、自筆遺言書が発見された場合は、発見後遅滞なく家庭裁判所で検認を受ける必要があります。
付言事項を活用する
自分からのメッセージをのこす。

法定遺言事項については法律で定められた方式に従っていれば法的な効力が発生します。付言事項に関しては法的な効力は生じません。しかし、希望や遺言に至る理由などが尊重されて結果としてそれらが実現されるということはありえます。
実務では、この付言事項を活用することもトラブルに対する押さえの一つといえます。